新人会計士が絶対に読むべき本 『勘定科目別 不正・誤謬を見抜く実証手続と監査実務』
新人会計士・若手会計士にオススメしたい本の一つが、
『勘定科目別 不正・誤謬を見抜く実証手続と監査実務』
監査経験の浅い会計士が、勘定科目別に、一般的な監査手続きを、体系的に理解するのに最適です。
以下、何を理解することが必要なのかと合わせて紹介します。
勘定科目別に監査手続きを理解することが大切
若手会計士、特に新人会計士がぶつかる壁の一つに監査手続きがあります。
- 監査手続きにはどんな種類があるのか
- 監査手続きの種類ごとの具体的な手続きのイメージ
- 勘定科目ごとにどんな特性とリスクがあるのか
- そのリスクにはどんな監査手続きが有効なのか
こういったことを会計士試験では学ばない一方で、監査実務では非常に大切な知識なので壁にぶつかってしまうのだと思います。
(もしかしたら、私だけが壁にぶち当たっていたのかもしれませんが。。)
実際の監査現場では基本的には毎年同じような監査手続きを継続しています。そのまま去年と同じ手続きをするだけで、新人会計士の普段の仕事としてはとりあえずはOKということになるかもしれません。
しかし、なぜその監査手続きをしているのか、その手続きでリスクに十分対応できいるのか、逆にその監査手続きはリスクに照らして本当にやる必要があるのか、という深さで考える癖をつけておかなければ、自分が監査手続きを設計する立場になったときに手も足も出ません。
しかもそんな立場は監査法人に入って1〜3年もすればすぐに回ってきます。(できない人には来ないですが。。)
だから今のうちに、勘定科目ごとのリスクと、リスクに対応する監査手続きは一般的にどういうものかという事を体系的に自分の中に落とし込んでおく必要があるのです。
また、監査手続きを体系的に理解しておくことは以下のような場面で、漏れなく、しかも素早く作業をする上でめちゃくちゃ有用です。
- 新規クライアントで過去の監査手続きの事例がないとき
- 子会社往査など短時間でリスクを見極めて監査手続きをするとき
- ショートレビューをするとき
この本の良いところと読むときのポイント
1.勘定科目ごとの特性とリスクを知る
勘定科目の特性とリスクっていうけど、特に新人会計士には特性とリスクっていわれてもよく分からないですよね。
勘定科目の特性とリスクと言いつつ、その勘定科目自体に個性がある訳では当然ありません。勘定科目に関連する会社の経理部やその他の部署の業務内容、取引の内容、関連する会計基準のそれぞれに特性があり、その業務、取引や基準にリスクがあります。
だから、勘定科目の特性とリスクを知ることは、取引、業務や会計基準について知るということです。
この本は文字通り”勘定科目別”に解説されており、まず勘定科目の特性とリスクが紹介されていますので、この部分だけでもかなり体系的に業務、取引や会計基準について整理できると思います。
さらに深堀りして理解するためには以下の本も手元においておくのがオススメです。
会社の業務について深堀りしたいのであれば
一つ目の本については下の記事でも紹介しています。
会計基準について深堀りしたいのであれば
こちらも下の記事でオススメの利用方法を紹介しています。
取引について深堀りしたいのであれば、
取引についてはクライアントに様々だと思うので、先輩に質問して教えてもらうのが一番だと思います。
ただクライアントの所属する業界ごとに、それぞれ慣行があったりするので自分が監査する業界の会計実務本を読んでおくとベースの知識がつくのでオススメです。
2.リスクとアサーションのひもづけする
リスクがぼんやりでも分かってきたら、次はリスクをアサーションとひもづけておく必要があります。
この本では、リスクとアサーションをリンクさせて詳細に解説されていますのですんなりと理解できると思います。
アサーションという言葉は会計士試験でなんとなく勉強したかもしれませんが、 監査実務ではここを深く理解しておく必要があります。
なぜなら、監査手続きはこのアサーションに対応して設計されるからです。逆にいうとアサーションが腑に落ちていなければいくら監査手続きを知っていたとしても、リスクに対応した監査手続きを選択することができません。
ここを体得していない1〜3年目会計士は意外と多い気がします。
今のうちにしっかり押さえておく事で同僚との差がぐんと開くと思います。
3.アサーションに対してどういう監査手続きが有効かを知る
そして最後にアサーションに対してどんな監査手続きがあるかを理解しましょう。
必ずアサーションにひもつけながら、監査手続きの内容を具体的にイメージしながら一つ一つ腑に落ちるまでしっかり考えてください。
腑に落ちるまで考えることはすごく時間と集中力を使って疲れると思います。でも今時間をかけておくと後々の思考スピードが圧倒的に速くなります。
会計士試験勉強と同じですが、基礎の部分はやり過ぎが十分くらいですので焦らずにがんばりましょう。