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新人会計士に増減分析のやり方を紹介する

監査手続きの中で、最も基本的な手続きの増減分析。

その増減分析のコツを紹介したいと思います。

 

目次

 

 

1.新人会計士は増減分析をマスターすべし

 

増減分析と言っても、目的によってその内容は違ってきます。

ここでは新人会計士がやる増減分析。四半期レビュー、年度監査のときにする勘定科目ごとの増減分析にフォーカスします。

 

監査ではチームメンバーで勘定科目を分担して、増減分析をすることが多いと思います。

新人会計士も漏れなく分担が与えられます。新人会計士が分担する勘定科目は、

  • 現預金
  • 借入金
  • 純資産
  • 固定資産
  • 有価証券、投資有価証券
  • 販売費及び一般管理費
  • 前払費用、未収入金といった諸勘定 etc

と言ったところでしょうか。

クライアントの理解が必要な売上高・売上原価・売掛金棚卸資産以外の勘定科目は分担となるかと思います。

 

これらの勘定科目ごとに、当年度と前年度の数値をならべて増減している理由を探っていく。

 

監査手続きの基本中の基本の手続きのため、新人会計士はぜひマスターしたい手続きです。

 

2.新人会計士の増減分析は広く浅い

 

新人会計士の増減分析にありがち(私もよくやってました。。)なのが、増減している項目の内訳を詳細に調べ上げるだけで、広くて、そしてとにかく深度が浅い分析。

 

例えば、

  • 未収入金の2億円減少した理由は、A社向けが3億円増えて、B社向けが2億円減って、C社向けが4千万円減って、D社向けが2千万円増えて、E社向けが3千万円減って、F社が、G社が、H社、、、、からです。

 

 

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やたら細かい。しかも全部足してると1億円増えてるじゃん。。。みたいな。

 

 

これだと先輩会計士から、

「なんでA社向けが増えているの?」

「B社って取引量増えているけどなんで減っているの?」

「C社とはどんな取引をしているの?」

「そもそも増減分析になってないよ。。。もう一回分析して」

 

とつぎつぎ質問などが飛んできて、うまく回答できずにしどろもどろに。 

 

 

そうならないためにも先輩会計士が求める広さと深度で分析しなければなりません。

 

とはいえ、先輩会計士の求めるレベルなんて人それぞれだし、どこまでやったらいいかわからない。(私は新人のときそう感じてました。。)

 

そこで、私が実践してきた増減分析のステップ、

これくらい分析しておけば大丈夫!という増減分析の手法を紹介します。

 

増減分析が苦手な方はぜひこの増減分析の方法を意識して分析してみてください。

 

3.増減分析は3ステップで分析する

増減分析は次の3ステップで進めます。

  1. 増減している内容(内訳)を把握する
  2. 増減している理由を把握する
  3. 増減内容が、その増減理由に照らして妥当かを評価する

 

「運送費が2億円減少している」を例として具体的に説明します。

 

ステップ1 内容(内訳)を把握

最初のステップで減少した2億円の内訳を洗い出していきます。

  • 主にA事業で1.5億円減少、B事業で0.2億円減少 (事業別)
  • 主に関東エリアで3億円減少、関西エリアで7千万円増加(エリア別)
  • 主にA運送会社で1億円減少、B運送会社で6千万円減少(取引先別)

 

ポイントは2つ、

  1. 次のステップ以降で分析しやすい切り口で内訳を把握すること
  2. ステップ1で細かく分析しすぎないこと

 

 

このステップで細かく分析しすぎると、後のステップで時間がかかりすぎるし、

情報が細かくなりすぎて本来の目的を見失います

 

ステップ2 理由を把握

ステップ1で洗い出した内訳ごとに増減の理由を把握します。

  • A事業は製品取引量が減少したことによる減少
  • B事業で利用してるb運送会社の輸送単価が減少したことによる減少

 

ポイントは、

勘定科目がどんな要因で増えたり減ったするのかを色々妄想しながら増減理由を把握してください。

この妄想力がのちのち推測力として進化しますので。

 

ステップ3 妥当性を評価

 最後にステップ2の理由が妥当かを検証していきます

  • 輸送コストが減少傾向にある今の経済環境と整合しているな
  • b運送会社が値下げするとニュースで言っていたことと整合するな
  • B事業での運送費下落は妥当なようだ
  • A事業は売上高が増加しているから、理由と整合していない気がするな
  • 売上高を担当している先輩会計士に聞いてみたところA事業は、販売数量は減少したが、販売価格が大きく増加したため売上高は増加しているようだ
  • A事業での運送費下落は妥当なようだ

 

ポイントは、

あなたの知っている経済環境、クライアントの理解と最大限にリンクさせること。

リンクさせる知識がなければ、先輩、クライアントへ質問したり、自分で調べたりしましょう。

そしてそれが整合しているのか整合していないのかを考えましょう。

 

知識とリンクさせることで、勘定科目の特性に関する理解が進み、分析の深度が増していきます。

 

 この3ステップで、増減分析が苦手でもそれらしい増減分析ができると思います。

 

4.あとは増減分析をしまくるのみ

以上の3ステップを意識して、増減分析をやりまくりましょう。

結局のところ経験量がものを言います!増減分析の鬼になってください!

 

自分が3ステップのどのステージにいるのかを常に意識して分析していくことで次のようなメリットが速く感じられると思います!

  • ステップ1だけ深堀りし続け、無駄に細かいだけの分析になるのを防げる
  • 増減分析のゴールを意識できるので、何をどこまでやれば良いかわからないと悩む時間が少なくなる
  • 自分の現在地が把握でき次にやるべきことがわかるため、クライアントや先輩に質問、相談しやすい
  • だんだん分析のスピードが速くなるのがわかる
  • だんだん分析の深度が深くなるのがわかる
  • だんだん増減理由が推測で分かるようになる
  • だんだん増減分析が楽しくなる
  • 先輩会計士からどんな質問がくるかわくわくする

 

 

そして増減分析に慣れてきたら、ぜひ自分に合った増減分析の型を作り出してください。