新人会計士が絶対に読むべき本 『勘定科目別 不正・誤謬を見抜く実証手続と監査実務』
新人会計士・若手会計士にオススメしたい本の一つが、
『勘定科目別 不正・誤謬を見抜く実証手続と監査実務』
監査経験の浅い会計士が、勘定科目別に、一般的な監査手続きを、体系的に理解するのに最適です。
以下、何を理解することが必要なのかと合わせて紹介します。
勘定科目別に監査手続きを理解することが大切
若手会計士、特に新人会計士がぶつかる壁の一つに監査手続きがあります。
- 監査手続きにはどんな種類があるのか
- 監査手続きの種類ごとの具体的な手続きのイメージ
- 勘定科目ごとにどんな特性とリスクがあるのか
- そのリスクにはどんな監査手続きが有効なのか
こういったことを会計士試験では学ばない一方で、監査実務では非常に大切な知識なので壁にぶつかってしまうのだと思います。
(もしかしたら、私だけが壁にぶち当たっていたのかもしれませんが。。)
実際の監査現場では基本的には毎年同じような監査手続きを継続しています。そのまま去年と同じ手続きをするだけで、新人会計士の普段の仕事としてはとりあえずはOKということになるかもしれません。
しかし、なぜその監査手続きをしているのか、その手続きでリスクに十分対応できいるのか、逆にその監査手続きはリスクに照らして本当にやる必要があるのか、という深さで考える癖をつけておかなければ、自分が監査手続きを設計する立場になったときに手も足も出ません。
しかもそんな立場は監査法人に入って1〜3年もすればすぐに回ってきます。(できない人には来ないですが。。)
だから今のうちに、勘定科目ごとのリスクと、リスクに対応する監査手続きは一般的にどういうものかという事を体系的に自分の中に落とし込んでおく必要があるのです。
また、監査手続きを体系的に理解しておくことは以下のような場面で、漏れなく、しかも素早く作業をする上でめちゃくちゃ有用です。
- 新規クライアントで過去の監査手続きの事例がないとき
- 子会社往査など短時間でリスクを見極めて監査手続きをするとき
- ショートレビューをするとき
この本の良いところと読むときのポイント
1.勘定科目ごとの特性とリスクを知る
勘定科目の特性とリスクっていうけど、特に新人会計士には特性とリスクっていわれてもよく分からないですよね。
勘定科目の特性とリスクと言いつつ、その勘定科目自体に個性がある訳では当然ありません。勘定科目に関連する会社の経理部やその他の部署の業務内容、取引の内容、関連する会計基準のそれぞれに特性があり、その業務、取引や基準にリスクがあります。
だから、勘定科目の特性とリスクを知ることは、取引、業務や会計基準について知るということです。
この本は文字通り”勘定科目別”に解説されており、まず勘定科目の特性とリスクが紹介されていますので、この部分だけでもかなり体系的に業務、取引や会計基準について整理できると思います。
さらに深堀りして理解するためには以下の本も手元においておくのがオススメです。
会社の業務について深堀りしたいのであれば
一つ目の本については下の記事でも紹介しています。
会計基準について深堀りしたいのであれば
こちらも下の記事でオススメの利用方法を紹介しています。
取引について深堀りしたいのであれば、
取引についてはクライアントに様々だと思うので、先輩に質問して教えてもらうのが一番だと思います。
ただクライアントの所属する業界ごとに、それぞれ慣行があったりするので自分が監査する業界の会計実務本を読んでおくとベースの知識がつくのでオススメです。
2.リスクとアサーションのひもづけする
リスクがぼんやりでも分かってきたら、次はリスクをアサーションとひもづけておく必要があります。
この本では、リスクとアサーションをリンクさせて詳細に解説されていますのですんなりと理解できると思います。
アサーションという言葉は会計士試験でなんとなく勉強したかもしれませんが、 監査実務ではここを深く理解しておく必要があります。
なぜなら、監査手続きはこのアサーションに対応して設計されるからです。逆にいうとアサーションが腑に落ちていなければいくら監査手続きを知っていたとしても、リスクに対応した監査手続きを選択することができません。
ここを体得していない1〜3年目会計士は意外と多い気がします。
今のうちにしっかり押さえておく事で同僚との差がぐんと開くと思います。
3.アサーションに対してどういう監査手続きが有効かを知る
そして最後にアサーションに対してどんな監査手続きがあるかを理解しましょう。
必ずアサーションにひもつけながら、監査手続きの内容を具体的にイメージしながら一つ一つ腑に落ちるまでしっかり考えてください。
腑に落ちるまで考えることはすごく時間と集中力を使って疲れると思います。でも今時間をかけておくと後々の思考スピードが圧倒的に速くなります。
会計士試験勉強と同じですが、基礎の部分はやり過ぎが十分くらいですので焦らずにがんばりましょう。
仕事のスピードの速い人の特徴について考えてみた
1.仕事のスピードは専門知識の量に比例していない!
私は5人~15人のチーム単位で仕事をすることが多く、同時に複数チームの一員として仕事するため色々な上司や同僚と接する機会があります。
その人たちの中には、仕事のスピードが圧倒的に早い人と、そうではない人がいます。
そこで不思議なのが、専門知識の量の多い人が仕事のスピードが速いという訳ではないということ。
もちろん仕事のスピードが速い人は知識量も多い傾向にあります。ですが、知識量の差が、仕事スピードの差と同じわけではなさそうということです。
知的専門家なのに知識量が仕事のスピードに必ずしも影響するわけではないことに衝撃を受け、仕事のスピードを上げるには何が必要なのかについて知りたくてしょうがなくなりました。
そこで仕事の早い人をよく観察していると、仕事が早い人に共通している行動パターンがありました。
2.仕事の速い人はゴールを明確にして作業を細かくタスク化している
彼らは行動に移るまえに仕事のゴールを明確にして、さらにそのゴールまでにすべきことを細かくタスク化していました。
- この課題はそもそも何が論点なのか
- その論点の解決にすべきことは何か
- それをどういうアプローチで進めるか
- どれくれいの時間が使えるのか
- 具体的な作業のタイミングをいつにするか
- どういう順番でするのが効率的なのか
- そして今月末、今週末、今日までに終わっておくべきことは何か
といった具合にゴールまでの道のりを逆算して頭の中でいったんゴールまでをシュミレーションしている。しかもシュミレーションの精度が異常なまでに具体的で細かいです。
そのため既に頭の中で一回経験した仕事をもう一度やっている感じになるのでスピードが圧倒的に早いのだと思います。
しかもそれを常に繰り返していることでシュミレーションの精度がさらに向上して、よりスピードが向上するサイクルに入っています。
何も考えず行き当たりばったりで仕事を進めて来た人とでは、最初は同じ能力だったとしても数年後には取り返しのつかない差になると思います。
また、
彼らは作業を細かくタスク化しているので難易度の低いタスクは部下に回して、高難度のタスクに集中して時間効率を最大化していました。
確かに、どんなに難しい課題でも必ず単純作業や、簡単な部分というのが出てきます。その部分を事前にタスク化して切り出し、レベルに応じてメンバーで分業して、同時進行的に進める方が圧倒的に早いです。
しかも、部下のレベルより少しだけレベルの高い作業を振り分ければ、部下も着実に成長していきます。
よくいますよね。部下は暇そうにしていて、上司が一人忙しく、「部下の能力が低いから自分が忙しいんだ」とか言う上司。
これは上司が仕事をうまくタスク化ができていない結果なのではないかと思います。
3.まとめ
- 仕事のスピードは専門知識の量に比例する訳ではない
- ゴールを明確にして、ゴールまでの道のりを具体的にシュミレーションする
- ゴールまでの道のりを細かくタスク化して、難易度の低いタスクは部下に任せる
- これを繰り返すことで自分自身の仕事スピードがどんどん速くなるし、部下も着実に成長する
新人会計士・若手会計士が絶対に読むべき本 『会計税務便覧』
1年〜3年目くらいの若手会計士に絶対おすすめしているのが『会計税務便覧』。
この本の内容は大きく以下のとおりです。
注目なのが勘定科目ごとに論点と基準が整理されているにという点。勘定科目ごとに監査をすることが多い若手会計士にはむちゃくちゃ便利なのです。
以下ではその理由を紹介します。
目次
監査で必要なこと
勘定科目単位でどんな会計論点があるかを知っておく必要がある
監査はチーム単位で行い、各チームメンバーに勘定科目単位で分担が割り振られ、作業を進めています。
分担の勘定科目はそのメンバーしか見ないので当然すべての論点をくまなく監査していく必要があります。
例えば棚卸資産に関連する論点であれば
- 製品の払い出し単価の計算方法
- 長期在庫の評価方法、低価法評価の方法
- 取得原価に含まれる付随費用の範囲
- 在庫計上されるタイミング
- 原料、仕掛品、製品になるタイミング
- 原価計算の方法 etc
と、棚卸資産一つとってもかなりの論点がありますが、これら一つ一つの論点を理解したうえで漏れなく監査する必要があります。
そして、監査の現場は時間との勝負です。
すべての論点を頭に叩き込んでおかないと限られた時間ですべてを監査することはできません。
現場でひとつひとつ調べるなんてことをしているといつまでたっても帰れません。
そのため、勘定科目ごとに論点を覚えておかなければなりません。
会計基準をベースに説明できる必要がある
クライアントの会計処理に誤りがあったり、新しい会計処理をする必要が出てきたとき、よりどころとなる会計基準をもとに説明する必要があります。
残念ながら「会計士」というだけではクライアントはあなたの説明を信用してくれません。
クライアントに会計処理の修正を依頼するときや、会計処理の方法を説明するときは必ず会計基準を参照して説明しなければなりません。
× 「棚卸資産の評価損の検討が漏れているので、検討のうえ評価損を計上すべきです」
○ 「〇〇の基準上、〇〇(具体的な検討方法)の実施が求められているので、検討のうえ評価損を計上すべきです」
特に若手会計士が説明をする相手は、クライアントの経理部門の若手社員が多いと思います。
その若手社員が会計処理の修正を独断で進めることはなく、上司に説明して判断を仰ぐことになります。残念ながら若手会計士の発言というだけでは、その上司に対する説得力に欠けるでしょう。
クライアントの経理部門の方もプライドを持って仕事をされていますので、よっぽど信頼された会計士でない限り根拠が示されてない説明では通用しません。
会計基準に基づいた丁寧な説明を心がけましょう。
実務で必要な知識は受験勉強で得た知識よりももっと細かい
会計士試験で得る知識はかなりアバウトで、実際に仕事で必要とされるレベルはもっともっと細かい知識です。
ですが、そのすべてを覚えるには量が膨大でコストパフォーマンスの面からお勧めできません。
ですので意識すべきは、会計処理の各取り扱いが基準のどこに定められているかです。
会計士試験の知識はいろんな会計論点の「幹」であるのに対して、実務で必要となる知識は1枚1枚の「葉」のようなものです。そして論点ごとに会計基準のどこを参照するかを整理しておくことで、「幹」と「葉」をつなぐ「枝」が出来上がります。
「幹」が最も大切というのは言うまでもなく、頭の中にしっかりととどめておく必要があります。
逆に、「葉」の部分は必ずしも覚えておく必要はないかと思います。量が多すぎてすべて覚えるには時間がかかりすぎますし。
そのため、必要なときにすぐ「葉」にアクセスできるように「枝」はしっかりと仕上げておきましょう。
やる気がある人ほどすべての「葉」を覚えようとしがちですが、時間が足りません。
よく使う「葉」は何度も基準を読むことになるのでそのうち覚えます。
どのようにこの本を利用するのか
これらを踏まえてこの本のオススメの使い方を紹介します。
読む時の手順
まず読む時の手順は以下がオススメです。
- 自分が分担する勘定科目のところを通読する
- 参照されている会計基準の原文も目を通す
最初のページからがむしゃらに読んでいくのもダメではないですが、担当する勘定科目から読み進めていく方が実際の仕事のイメージと関連させやすくてオススメです。
そして、面倒ですが会計基準の原文まで読んでおきましょう。さっきも言いましたが、クライアントへの説明は会計基準の原文がベースになりますので。
どっちみち修了考査(3次試験)の勉強で全部読まないといけないので今の内からコツコツがんばりましょう!
読む時のポイント
そして、読む時のポイントは以下の3つです。
- 科目ごとの論点を覚えておく
上でも述べた通り、監査の現場は時間との勝負です。勘定科目ごとの論点は街中で突然聞かれても即答できるようにしておきましょう。
- 基準で決まっている部分、判断の余地を残している部分を意識する
これも大切です。
会計基準では「しなればならない」と明確に決められていることと、会社の実態に応じて判断の余地が残されていることがあります。
この必須の部分と判断の部分を意識しておくことで、クライアントに会計処理の修正を依頼するときに絶対に対応すべき部分とそうでない部分がクリアになります。
- 実務上どのようにすれば良いかをイメージする
会計基準はすべての会社に当てはまるように一般化されています。
個別の会社ごとに状況はバラバラなので、自分の担当する会社ではどのように会計基準を当てはめれば良いかを具体的にイメージするようにしましょう。
今の処理はどんなデータ・資料で、どんな計算で作られているか。それが会計基準で決めれている事と整合しているか。不足している部分はどのようなところか。不足を補うにはどのような情報が必要か。
など具体的にイメージしていきましょう。
会計基準の原文に基づいて指摘だけしても、実務的に対応できなければ修正できずなかなか次に進みません。
以上、ながながと説明しましたが、
若手会計士の予習・復習用として、監査現場での辞書代わりとしてめちゃくちゃ利用価値の高い1冊です。この本をボロボロになるまで利用してライバルに差をつけましょう。
新人会計士が絶対に読むべき本 『ストーリー形式で楽しく学ぶ 経理部員1年の仕事』
公認会計士試験を合格した新人会計士(特に監査法人勤務の新卒会計士)にまず読んでほしいのが、
『ストーリー形式で楽しく学ぶ 経理部員1年の仕事』
(出版社:日本経済新聞社、編:新日本有限責任監査法人)
なぜならこの本で、会計士試験では勉強しない、でも仕事をする上で絶対に知っておくべき事が分かりやすく学べるからです。
以下では、なぜこの本をまず読むべきかを紹介していきます。
1.公認会計士試験で学んだ知識だけでは実務で通用しない
会計士試験を合格した新人会計士の知識量はとてもすごいです。
- 複雑なリース会計や退職給付会計の仕訳をパターン別に理解している
- 難しい連結会計の仕訳とその理論的背景を諳んじれる
- 各会計論点の現在の会計処理が採用されている理由を論理的に説明できる
- 法人税の計算パターンを暗記していて余裕で問題が解ける。なんなら端数切り捨ての単位まで完全に頭に入っている etc
上場企業の部長・課長クラスよりも体系的に会計・税務の知識を細かいところまで熟知していると思います。
でも、その公認会計士試験では、実際の財務諸表が会社のどの部門で、どんな人たちが、どんな時期に、どのようにして作成されているかは勉強しません。
なので、ほとんどの新人会計士は財務諸表作成の実務をほとんど知らない状態かと思います。
そんな状態では、実際クライアントと会話をしても全く太刀打ちできないはずです。
例えるなら、テニスのプロ選手や、歴史、世界4大大会の細かなまめ知識についてむちゃくちゃ詳しいけど、実際にラケットを握ったこともない人が、毎日試合をしまくっているプロ選手と試合をするようなものです。まともにラリーすらできないでしょう。
クライアントの担当者に質問に行くものの、
- システムって何?
- 自動仕訳ってどういうこと?
- 消し込み作業が大変っていうけど何?
- 小切手とか手形見た事ないからイメージできません。
- そもそも何を言ってるのか全く分からないです。。
- どう質問した良いかすらも分からない
とお手上げ状態に。。
こうならないために、最低限の実務をインプットしておくことが大切です。
2.この本はとにかく分かりやすい
経理実務の本はいろいろあると思いますが、
この本は新人向けに書かれておりとにかく分かりやすい!
ストーリ形式なのでスラスラ読めます。しかもQ&A形式のようになっていて、先輩から教えてもらうような書き方になっているため、主人公になったつもりで、ふむふむと読み進められます。
また、イラストも多いため実際にイメージしやすいところも良いです。
社印や小切手、手形なんかは特に新卒だと見たことないと思います。初めて実査に行く前にはとても重宝しますよ。
3.この本はちょうど良いカテゴリー分けでしかも詳しい
この本は以下のカテゴリーに区分されています。
- 日常業務(現金出納の業務など)
- 仕訳業務(どのようにして仕訳がきられるのかなど)
- 決算業務(決算はどのようにして行われるのかなど)
- 開示業務(開示資料はどうやって作られるのかなど)
- 監査対応業務(監査対応ってどんなものなのかなど)
1年間の経理部の業務が網羅的にカテゴリー化されており、新人会計士がクライアントに訪問するまでにまず知っておきたい知識が全て纏まっていると思います。
しかも、上場会社の経理業務をイメージして作られているため、内容も深くて広い。
また、タイトルからはとても幼稚な印象を受ける方もいるかも知れませんが、書かれている内容はかなり詳しいです。
新卒会計士に限らず社会人経験のある公認会計士試験合格者の方でも十分ためになります。
さすが大手監査法人が出版するだけありますね。
ぜひ会計士1年目のうちにこの本を熟読することをオススメします!!
新人会計士に増減分析のやり方を紹介する
監査手続きの中で、最も基本的な手続きの増減分析。
その増減分析のコツを紹介したいと思います。
目次
1.新人会計士は増減分析をマスターすべし
増減分析と言っても、目的によってその内容は違ってきます。
ここでは新人会計士がやる増減分析。四半期レビュー、年度監査のときにする勘定科目ごとの増減分析にフォーカスします。
監査ではチームメンバーで勘定科目を分担して、増減分析をすることが多いと思います。
新人会計士も漏れなく分担が与えられます。新人会計士が分担する勘定科目は、
- 現預金
- 借入金
- 純資産
- 固定資産
- 有価証券、投資有価証券
- 販売費及び一般管理費
- 前払費用、未収入金といった諸勘定 etc
と言ったところでしょうか。
クライアントの理解が必要な売上高・売上原価・売掛金・棚卸資産以外の勘定科目は分担となるかと思います。
これらの勘定科目ごとに、当年度と前年度の数値をならべて増減している理由を探っていく。
監査手続きの基本中の基本の手続きのため、新人会計士はぜひマスターしたい手続きです。
2.新人会計士の増減分析は広く浅い
新人会計士の増減分析にありがち(私もよくやってました。。)なのが、増減している項目の内訳を詳細に調べ上げるだけで、広くて、そしてとにかく深度が浅い分析。
例えば、
- 未収入金の2億円減少した理由は、A社向けが3億円増えて、B社向けが2億円減って、C社向けが4千万円減って、D社向けが2千万円増えて、E社向けが3千万円減って、F社が、G社が、H社、、、、からです。
??????
やたら細かい。しかも全部足してると1億円増えてるじゃん。。。みたいな。
これだと先輩会計士から、
「なんでA社向けが増えているの?」
「B社って取引量増えているけどなんで減っているの?」
「C社とはどんな取引をしているの?」
「そもそも増減分析になってないよ。。。もう一回分析して」
とつぎつぎ質問などが飛んできて、うまく回答できずにしどろもどろに。
そうならないためにも先輩会計士が求める広さと深度で分析しなければなりません。
とはいえ、先輩会計士の求めるレベルなんて人それぞれだし、どこまでやったらいいかわからない。(私は新人のときそう感じてました。。)
そこで、私が実践してきた増減分析のステップ、
これくらい分析しておけば大丈夫!という増減分析の手法を紹介します。
増減分析が苦手な方はぜひこの増減分析の方法を意識して分析してみてください。
3.増減分析は3ステップで分析する
増減分析は次の3ステップで進めます。
- 増減している内容(内訳)を把握する
- 増減している理由を把握する
- 増減内容が、その増減理由に照らして妥当かを評価する
「運送費が2億円減少している」を例として具体的に説明します。
ステップ1 内容(内訳)を把握
最初のステップで減少した2億円の内訳を洗い出していきます。
- 主にA事業で1.5億円減少、B事業で0.2億円減少 (事業別)
- 主に関東エリアで3億円減少、関西エリアで7千万円増加(エリア別)
- 主にA運送会社で1億円減少、B運送会社で6千万円減少(取引先別)
ポイントは2つ、
- 次のステップ以降で分析しやすい切り口で内訳を把握すること
- ステップ1で細かく分析しすぎないこと
このステップで細かく分析しすぎると、後のステップで時間がかかりすぎるし、
情報が細かくなりすぎて本来の目的を見失います。
ステップ2 理由を把握
ステップ1で洗い出した内訳ごとに増減の理由を把握します。
ポイントは、
勘定科目がどんな要因で増えたり減ったするのかを色々妄想しながら増減理由を把握してください。
この妄想力がのちのち推測力として進化しますので。
ステップ3 妥当性を評価
最後にステップ2の理由が妥当かを検証していきます
- 輸送コストが減少傾向にある今の経済環境と整合しているな
- b運送会社が値下げするとニュースで言っていたことと整合するな
- B事業での運送費下落は妥当なようだ
- A事業は売上高が増加しているから、理由と整合していない気がするな
- 売上高を担当している先輩会計士に聞いてみたところA事業は、販売数量は減少したが、販売価格が大きく増加したため売上高は増加しているようだ
- A事業での運送費下落は妥当なようだ
ポイントは、
あなたの知っている経済環境、クライアントの理解と最大限にリンクさせること。
リンクさせる知識がなければ、先輩、クライアントへ質問したり、自分で調べたりしましょう。
そしてそれが整合しているのか整合していないのかを考えましょう。
知識とリンクさせることで、勘定科目の特性に関する理解が進み、分析の深度が増していきます。
この3ステップで、増減分析が苦手でもそれらしい増減分析ができると思います。
4.あとは増減分析をしまくるのみ
以上の3ステップを意識して、増減分析をやりまくりましょう。
結局のところ経験量がものを言います!増減分析の鬼になってください!
自分が3ステップのどのステージにいるのかを常に意識して分析していくことで次のようなメリットが速く感じられると思います!
- ステップ1だけ深堀りし続け、無駄に細かいだけの分析になるのを防げる
- 増減分析のゴールを意識できるので、何をどこまでやれば良いかわからないと悩む時間が少なくなる
- 自分の現在地が把握でき次にやるべきことがわかるため、クライアントや先輩に質問、相談しやすい
- だんだん分析のスピードが速くなるのがわかる
- だんだん分析の深度が深くなるのがわかる
- だんだん増減理由が推測で分かるようになる
- だんだん増減分析が楽しくなる
- 先輩会計士からどんな質問がくるかわくわくする
そして増減分析に慣れてきたら、ぜひ自分に合った増減分析の型を作り出してください。
0秒思考を1年間継続してみた感想を紹介します
こんにちは。
0秒思考という本をご存知の方も多いかと思います。
この本のトレーニングを1年間実践した結果をどうしても紹介したいと思い、ブログ始めました。
1.この本を手に取ったきっかけ
手に取ったきっかけ。
タイトル”『0秒思考 頭が良くなる世界一シンプルなトレーニング』〜マッキンゼーで14年間活躍した著者の独自メソッド〜”
自己啓発系の本好きな私に突き刺さるタイトル!0秒というインパクト、頭が良くなる、しかも世界一シンプル!
そして、自己啓発本コーナーで見ないことはない頭脳集団”マッキンゼー”の単語。
すぐさま手に取りました。
はじめ書きを拝見。
一生懸命考えているつもりで、実際は立ち止まっている、という人が意外に多い。
前に進まない。あるいは、空回りする。気になることがあると、頭がうまく働かず、考えがなかなか深くならない。考えようとしても、目の前の別の課題が目に浮かぶ。集中して考えることができない。行ったり来たりで結論を出せず、時間をかけても深堀りできず、堂々巡りすることになる。
深く考えるという以前に、少しでも前向きに考えられればまだましだ。迷う時はああでもない、こうでもない、と課題の入口で思い悩み、深く考えるどころか一歩も前に進まない。ずいぶん考えた、考え疲れたと思っても、少しも前進できていない。
ゼロ秒思考 頭がよくなる世界一シンプルなトレーニングより引用
これを読んで、僕の当時の状況をそのまま説明されているような気がしました。
当時、昇格した直後で、仕事の内容もこれまでと大きく変わりました。
クライアントとの論点を協議、上司へ論点を説明し方向性を決定、合わせて部下のタスクマネジメントをしつつ、海外のメンバーともコミュニケーションをとる。しかも、複数のクライアントを同時進行で。
指示を受けて一つ一つ作業をする今までの仕事内容から、プロジェクトリーダーのようにマネジメント能力が求められる仕事内容に一気に変化したタイミングでした。
仕事は大変そう、でもこれまで気合いで乗り越えてきたし。昇格してやる気に満ちあふれているし、これからも気合いで乗り越えられるだろう。そう考えていました。
ですが、いざ仕事が始まると、どう進めたら良いか全くわからない。。
わからないので難しそうな論点を後回しにして、とりあえず簡単な部分から進めてみる。後回しにした論点について、書籍や情報サイト、過去事例を調べて考えてみようとするが、情報収集してみただけで結論が出ないまま時間だけが過ぎていく。そして、無駄にした時間を取り戻そうと、どうでも良い部分にごだわって時間を使ってしまう。そうしてできた成果物は当然、クライアントや上司の要求を満たさないため、差し戻されてしまう。
そうこうしている間にも次々と新たな仕事が舞い込んでくるし、他の仕事の期限も迫ってくる。そうすると、集中して考えようにも、他の仕事が気になってしまい全く集中することができないまま、また時間だけが過ぎていく。
結局、時間切れとなってしまい、上司に怒られてしまう始末。怒られるだけならまだしも、できなかった仕事を上司がするので、上司の時間も無駄にすることになり、貢献するどころかお荷物に。
というのが当時の私の状況でした。。すみません、つい長文になってしまいました(汗)
とにかくこんな状況を打破したい!この本は役に立つに違いない!外資系コンサルのノウハウ! マッキンゼー14年の力を!
と衝動的にレジに向かったのでした。
2.0秒思考の状態とは
0秒思考とはどのような状態のことなのか。
もやもやした気持ちをその場で言葉にし、考えを深められるようになると、考えが進むだけではなく、どんどんスピードアップしていく。3、4日かかって考えていたことが数時間でできるようになる。1ヶ月かかっていたプロジェクトをものによっては1週間で終わらせることもできるようになる。生産性は数倍〜数十倍上がる。
課題が整理され、問題点の本質が見え、本質的な解決策とそのオプションが浮かび、オプションのメリット、デメリットがすぐわかるようになる。問題の本質と全体像を押さえた確実な対策が打てるようになる。
そうした思考の「質」と「スピード」、双方の到達点が「ゼロ秒思考」だ。
ゼロ秒とは、すなわち、瞬時に現状を認識をし、瞬時に課題を整理し、瞬時に解決策を考え、瞬時にどう動くべきか意思決定できることだ。迷っている時間はゼロ、思い悩んでいる時間はゼロとなる。
文字通り瞬時にできることが多いが、もう少し時間がかかる場合もある。それでも、従来に比べて驚くほどスピードアップとなる。今、目の前で何が起きているのか、どういう現象なのか、一瞬のうちに判断し、判断したら次の瞬間に進むべき道を複数考え、長所短所の比較をし、即座に方針を決定することができるようになる。
ゼロ秒思考 頭がよくなる世界一シンプルなトレーニングより引用
0秒思考の状態、具体的に言うとこんなようなことかな。
- めっちゃ仕事の速いスーパービジネスマンのような状態
- 難題をキレイに片付けて報告を済ますスーパー部下のような状態
- 部下のみんなから頼られ慕われるスーパーリーダーのような状態
- 大量の仕事をサクッと終わらせて定時で嫁のもとへと帰るスーパー夫のような状態
かっこいいですね〜憧れますね。
3.0秒思考はメモ書きの継続で達成される
0秒思考にいたるには、単純な「メモ書き」を毎日続けるだけ。
具体的には以下が参考になります。
A4用紙を横置きにし、1件1ページで、1ページに4〜6行、各行20字〜30字、1ページを1分以内、毎日10ページ書く。したがって、毎日10分だけメモを各。例えばメモ1のようになる。
メモ1
ゼロ秒思考 頭がよくなる世界一シンプルなトレーニングより引用
たったこれだけ。
極めてシンプルで誰でもできるトレーニングでですね。
しかもこの本の半分以上は、どのようにメモ書きをするかを具体的に解説に割いているんです。
- テーマはどんな内容がいいのか
- 箇条書きのはどんなことを書くのか
- テーマが思いつかない時はどうするのか etc
ここが、よくあるノウハウ本とは違うところだと思います。
「朝5時に起きて仕事をすべし」「10分で終わる仕事は先に片付けてしまう」「メールチェックは時間を決めて確認すべし」など、行動(結果)にフォーカスした本は多いのですが(僕はこういう本も好きで読み漁っていますが。。)、どうやってそれを達成するかの方法(過程)にフォーカスした本なので、誰にでも参考になるかと思います。
4.そして1年間メモ書き続けた結果
仕事のスピードは明らかに早くなり、それ意外にも多くの領域で成長したと感じています。
- 仕事の優先順位をうまくつけれるようになった
- 仕事の初動が格段に速くなった
- コミュニケーションに対するストレスが減った
- 説明がうまくなった
- 質問がうまくなった
- TOEICの点数がのびた
- 読書スピードがあがった などなど
もちろん始めて1、2ヶ月は目立った効果は感じられませんでしたし、上記の効果が全てメモ書きの成果というわけでもないはずです。
ですがメモ書きを終えた後に、頭の中のもやもやが整理されたような感覚は、早い段階からあったかと思います。
おそらく、1テーマあたり1分間というタイムリミットが大事!
1分間の短い時間に、思っていることを全て吐き出すことは想像以上に集中力が必要です。
集中して、思いつくことを一瞬にして言語化してアウトプットする。アウトプットした内容に対してさらに深堀りしてアウトプットしてく。
メモ書きによって、この言語化と深堀りの繰り返しが自然と身に付いていく。だから思考力が鍛えられるのだと思います。
シンプルで誰でもできる思考力トレーニングですので、ぜひ試してみてください!